2011.04/30(Sat)

再会(ep.R)

「くそォ」
 1番最後に研究施設のGメカ格納庫に戻って来たジョーはG2号機から降りると思わず舌を打った。
「なにもかもがケタ違いだ。パワーがありすぎる」
 ストックカータイプはもちろん、Gメカに変身したG2号機を見た時、ジョーの胸は高鳴った。
 時速1000キロのモンスターマシン。だが乗りこなす自信はある。
 なのに現実は〝乗っている〝のではなく、〝乗られている〝ようだった。たった1時間の訓練を終え、ここまで戻ってくるのがやっとなほど体も精神も疲れていた。
 もっともこれはジョーだけではない。健もジュンもジンペイ、リュウまでもがこのケタ違いのマシンに手を焼いているのだ。訓練はまだ始まったばかりだが。

「くそっ!」
 ガンッ!と車体が響いた。と
「Gメカにあたらないで」
 誰もいないと思っていた格納庫に1人の少女がいた。ジョーは一瞬、動きを止めたが、
「ここは立ち入り禁止区域だぜ」
 自分より遥かに小柄の少女を見回す。栗色の長い髪をポニーテールでまとめ藍色の作業服を着、手にしているのは点検用の小さな機器。
「・・・メカニック?」
「ええ。と言っても5日ほど前に配属になったばかりだけど」
 口元をちょっと動かして微笑む少女はまだ若く・・・そう、ジョーと同い年に見えた。
 だがジョーは油断する事なくG2号機と少女の間に立つ。彼女が何か繰り出してきても抑える事のできる距離だ。
「ちょっと苦労しているみたいね」誰もが震えあがるジョーの眼力に臆する事なく少女がG2号機に近寄った。「ISOの総力を懸けたGメカだから無理ないけど」
「・・・・・」
「でも、このマシンを扱えないなんて、G計画のメイン要員って案外だらしないのね」
「なんだとっ」
 ジョーはG2号機から少女を引き離した。力を入れたつもりはないが小柄な少女の体が ポンッと飛び、床に尻もちをついた。
「おれ達はもう何年も厳しい訓練を受けているんだ。こんなマシンすぐに乗りこなしてやるぜ」
「ええ・・・知っているわ」
 裾を払い少女が立ち上がった。そして黒い瞳をジョーに向ける。この瞳はどこかで見た事があるような・・・。

「おいおい、Gメカのそばでケンカか?」2人が振り返ると、そこにはメカニックチーフのバレンが苦笑いしていた。「女の子を手荒に扱っちゃいけないぜ、ジョー。君もひと言多いぞ、淳」
「じゅん?」ジョーが再び少女に目を向けた。〝じゅん〝というのか、こいつ。この名前は気の強い奴が多いようだな。「こいつが余計な事を言うから─」
「だが手古摺っているのは事実だろ、ジョー?おれ達が最高の状態に仕上げたマシンだ。あんな操縦ではおれ達の仕事も泣くぜ」
 どこかで訓練の様子を見ていたのか。バレンの言葉に、だがジョーは返す事ができない。訓練は始まったばかりだと言い訳するのもいやだ。
 そんなジョーの心内がわかったのか、淳がクスッと笑った。ジョーの眉が寄った。
「見てろよ。今に最高の走りを見せてやるぜ!」
 踵を返し、その場を去るジョー。
「メインは走りじゃないんだけどな・・・」
 バレンの呟きに淳は不可解な目を彼に向けた。
 彼女はまだG計画の全容を知らない。
 メイン要員と呼ばれるあの5人も、淳達のようなスタッフにも・・・それがどんなに苛酷で長い戦いになるかもしれないという事を、この時はまだ思ってもいなかった。





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