2017.02/22(Wed)

トランスポータ 前編 (ep. G)


「ジョー」
 目の前に停まった大型トランスポータの運転席から降りて来た淳を見て、ジョーの眉がよった。
 なんでこいつが来るんだ。
「ゴッドフェニックスの修理に多くの手がいるから、私がトランポに来たのよ」  
 ジョーの不機嫌さを読んだかのように淳が答える。
「フン、軽く見られたもんだぜ」
 それでも自走できないG2号機を研究施設に戻すには淳の、いや彼女の乗って来た大型車の手を借りなければならない。

 ギャラクターとの戦いでゴッドフェニックスのノーズが破損しG2号機も被害を受けた。
 ギャラクターのメカ鉄獣はバードミサイルと健のG1号機でなんとか破壊したが、そのノーズにG2号機を納める事ができないのでトランスポータの出番となったわけだ。

「被害は大した事ないわ。すぐ直せる。だけどここでやるわけにはいかないわね。一旦、ISO の研究施設に運びましょ」
 ゴッドフェニックスから放り出され着地したのは草原の真っただ中だった。
 ゴッドフェニックスは飛行に差し支えなかったので先に戻り、1人残ったジョーはG2号機を騙し騙し近くの林に持って行ったのだ。
「ジョー、後ろを開けて。Gメカを収納するわ。それからリフトを降ろして」
 立ってる者は親でも使え ─ を知っているかどうかはわからないが、青い翼のコンドルのジョーを淳は部下のように使う。
 ちょっと肩をすくめジョーはトランポの運転席に入った。
 リアの扉を開けリフトを降ろす。アームが車体を掴みゆっくりとリフトに乗せるとそのままバネルバン(荷台)内に引き込んだ。タイヤが固定され扉が閉まった。
「OK ね。戻りましょ」
 淳が助手席に入ったので、変身を解いたジョーが大型車を運転する事になった。

「ところで、大型免許は持っているの?」
「ん・・・」
 大きくステアリングを回し、ジョーが眉を寄せた。
 持っているのは普通乗用車免許とレースライセンスだけだ。と、いう事は無免許?
 だがゴッドフェニックスを動かす事もあるので、ま、いいか。
「くだらない事言ってねえで帰り路をセットしてくれ。ここがどこなのか、おれはさっぱりわからないぜ」
「私はG2号機をトレースして来たからなぁ。でもナビがあるから大丈夫よ」
 淳は目的地を『ISO 研究施設』にセットした。モニタに地図が現われる。
「スピードは出せないけど、2時間ちょっとで着いたわ」
「低速のドライブなんてイヤだな」
 そう言うが、いつもより大きなステアリングを握ったジョーはなんだか楽しそうだ。
 そんな彼を間近で見て仕事だがウキウキと心が沸き立つのを感じ、淳はともすればニヤつきそうになる顔を無理矢理窓へと向けた。と、
「おかしいわ」車外に向けていた目をナビに戻す。「行きにこんな景色はなかったわ」
「ナビが別のコースを出したんだろう。不思議じゃないさ。それよりこんなにでかいのにレスポンスがいいよな。G2号機もこうあってほしいぜ」
「思いっきり大きなタイヤとステアリングをつけてあげましょうか」
 G2号機は基本1人乗りだ。こんな巨大なステアリングをつけたらジョーの乗るスペースがなくなってしまう。
「ダイエットしないと乗り込めなくなるわね」
「おれよりお前がした方がいいぜ。右に傾いてしょーがねえ」
「なんですって!」
 淳はグーをジョーに向け、ハッとその手を止めた。
 外の景色がまだ林のままだ。もう疾うに街の明かりが見えてきても良い頃なのに。
「やっぱりおかしい。ユートランドへの道じゃないわ」
 だがナビはISO の研究施設への道を示している。
 淳はコンソールのGSP 機能をオンにした。これで今どこを走っているのかがわかる。だが、ガガ・・・とノイズを発しモニタにはいくつもの横線しか映らない。
「故障かしら。出る前に整備したのに」
「確かに変だ。どんどん山の中に入っていく」
 スピードをわずかに落としてジョーも周りを見た。さっきより大木が多くなった。ここを越えたからってユートランドに出られるとは思えない。

 とうとうジョーはトランスポータを停車させた。
「中にいろよ」
 そう淳に言うと車外に出て空を見上げた。まだ星は出ていない。
「チェッ、これじゃあ方角もわからねえや」
 最新技術の詰まったISO の車両だが、それが今はアナログに頼るしかないと思うと可笑しくなった。
「ジョー」ドアが開き淳が降りてきた。「通信機も使えないわ。私のもトランポのも」
「なんだって」
 ジョーは左腕のブレスレットを見た。この理由(わけ)もわからぬ状況でブレスレットを使いたくはなかったが、
「こちらジョー。健、応答してくれ」だが、ノイズはないもののブレスレットからは何も聞こえなかった。「どうなってるんだ、おい」
「さっきのところに戻った方がいいかしら。あそこなら研究所のG スタッフが場所を押さえているわ」
 だがここは細い山道の途中だ。とてもUターンはできない。
 ただ迷子になっただけなら ─ それも格好悪いが ─ まだよいが、今はトランポにGメカを積んでいる。
 こんなところをギャラクターに襲われたら・・・。
 淳は緊張した。
 G スタッフである彼女はGメカを、そしてかの5人を守らなければならない義務がある。

 今はG2号機とジョーを・・・。


                            つづく
  

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