2012.06/02(Sat)

Emergency(ep.G)


「ジョー」淳は休憩室から出てきたジョ-に声をかけた。「サンドイッチを作ってきたの。お昼を一緒にどう?」
「残念だな、もう食っちまったよ。それにこれから機械工学の講義なんだ」
「そう・・・。じゃあまた今度ね。ジョーの好きなサンドイッチはなあに?」
「なんでも食うぜ。あ、でもチキンやプロシュットのパニーノが好きかな」
 今度はそれを作ってこようと淳は思った。
「じゃあな」
「あ、あの・・・」軽く手を振り行こうとするジョーの前に淳は立った。「・・ええと・・・どうかしら」
「あ?」
 ちょっと頬を染めてモジモジしている淳にジョーは不可解そうに・・・いや、ちょっと気味悪そうに目を向けた。
「なにがだ?」
「なにがって─」              
「ジョー」健が呼んだ。「何してるんだ。教諭がもう来るぜ」
「やべっ、遅刻するとうるせえんだ、あのセンセ。じゃあな、淳」
「ジョー」
 背中を向けたジョーに淳は思いっきり唇をへし曲げた。

「ゴッドフェニックス、発進!」
「ラジャ!」
 緩やかに、やがて激しく掛かるGに5人は緊張を高めていった。
「高度一万で水平に戻せ。そのまま待機」
「健、この高度だと旅客機と一緒だぜ。まずいよ」
 そうなのだが、
「南部博士からの命令なんだ。レーダーをちゃんと見てろよ」
「わかってるよ。ま、そんなもの見てなくても緊急接近感知装置が─お?」
 ジョーは目の前のコンソールに並ぶスイッチをいくつか押した。
「なんだ?レーダーが変だぜ。何も映らない」
「なんだと」
 健はメインスクリーンに目を向けた。有視界のその映像に異常はない。
「どこからか妨害電波が出ているのか?」
「いいえ、健。今のところ感知しないわ」
 健に答えてからジュンはジョーの前のレーダーに目を向けた。
 確かにレンジエリアには何も映っていない。しかし妨害電波特有の画面の荒さもノイズもない。ただ何も映っていない状態なのだ。
「くそォ、どうなってるんだ」
 ジョーが懸命にコンソールのあちこちを叩く。
「余計に壊れるわよ、ジョー。しばらく様子を見た方が─」
「フン、そんなのは根性で─おっ、直ったぜ。─あ?」ウインと音を立て映ったレンジには無数の光が輝いていた。「1時の方向からミサイル接近!数1000!」
「そんなもん、どこにあるんじゃ!」
 メインスクリーンで目視したリュウが大声を出した。
「だ、だがレーダーでは・・・あ、消えた??」
「壊しちゃったんじゃないの、ジョーのアニキ」ヘラヘラと笑うジンペイ。が、「─ミ、ミサイルが、振って湧いた─」
「なんだと!」
 健の声と同時に、ドーン!と、ゴッドフェニックスの機体に衝撃を受けた。
「どこをやられた!」
「後方垂直尾翼の右側じゃ!」
「そんなぁ・・・」ジンペイが手元の小さなレーダーを見た。「レーダーでは左側面に映ってたのに」
「健、なにかおかしいぞい。いったん戻ったほうが─」
『科学忍者隊の諸君』メインスクリーンに映ったのは南部博士だ。『ホーナン市にギャラクターのメカ怪獣が現れた。国連軍が応戦しているが分が悪い。すぐに向かってくれ』
「─わかりました、博士」
「健!」博士の姿が消え、リュウが声を上げた。「このまま向かうつもりかよ」
「メカ怪獣を放ってはおけない。それに博士の命令は絶対だ」
「だけどよ・・・あー!?」
「どうした、リュウ」
「ここはホーナン市の上空だワ。いつの間に・・・」

 メインスクリーンに映し出されているのは、世界遺産にも登録されているホーナン市の古い町並みだ。
 赤茶けた屋根にレンガ色の壁。古き良き時代のEUの光景をスクリーンいっぱいに見る事ができる。
 その上空を無骨な黒い影が飛びまわっている。ギャラクターのメカ怪獣だ。
「なんだかクワガタみたいね」
 ジュンの言うとおり、先端に付いた長くて大きな鋏が特徴だ。
「昆虫採集するには大きいしなぁ」
 ジンペイが呟いた時だ。

 ガーン!

 ゴッドフェニックス全体に衝撃が走った。メインスクリーンにクワガタ・メカの鋏の先っぽがちょっと映っている。
「挟まれたぞぃ!」
 リュウがエンジンレバーを引いた。
 ガガガ・・・と耳障りな音を立て、しかしゴッドフェニックスの機体は動かない。
「こう接近していたんじゃバードミサイルも使えねえしよォ」
「よし、おれがG1号機で攻撃を仕掛ける。その隙に脱出しろ。後は頼むぞ、ジョー」
 ラジャ!とサブリーダーの声を聞くと健はG1号機へと続く通路へと向かう。だが、
「ドアが開かないぞ」
「電気系統のいくつかが使えん!」リュウが悲痛な声を上げた。「各メカへの通路、及びトップドームへも上がれんぞ!」  
「なんだと」
 次々と変わっていく状況にさすがの健も言葉が継げなかった。

 ミシミシ・・とゴッドフェニックスの機体が鳴る。
「とにかく、こいつから離れないと」健は再びシートに戻りメインスクリーンを睨んだが、「仕方がない。科学忍法火の鳥を使って脱出しよう」
「─わかった」
 リュウも覚悟を決めた。レバーに手が伸びる。
「科学忍法火の鳥!」
 健の合図と共にレバーが押し上げられた。が、

 スカッ

「ん?なんだ、スカッって?」
「だめじゃ、健。火が・・・火が点かない・・・」
「そんなバカな」だがリュウの言うとおりゴッドフェニックスの機体にはなんの変化もない。「よし、もう一度いくぞ。科学─」
「ち、ちょっと待ってくれ─あ?高度ゼロ?健!ゴッドフェニックスは地面に降りとるぞ!」
「まさか」
「こらぁ、リュウ!いーかげんな事ぬかしてんじゃねえぜ!」
「じゃあ高度計を見てみろって。しっかり0を指しとるワ!」
「・・・・・・」
 全員が絶句した。こんな事があるわけない─しかし・・・。
「うわっ!」
「きゃっ!」
 突然ゴッドフェニックスがバウンドした。機底を地面に叩きつけられたような衝撃だ。
 と、すぐさまフロントノーズが上を向き直立した。そして横に倒れゴロゴロと転がる。
「ゴッドフェニックスってこんな事できるの~!?」
 リアを蹴っ飛ばされたようにつんのめった。5人はコクピットのあちこちに飛ばされた。
「くそォ。誰だ!今日のプログラマは!」
 ジョーが叫んだ。

「ごめんなさい」強面て5人の前に立ち淳が頭を下げた。「ちょっとやり過ぎたわ。その方が訓練になるし、みんなの事だから大丈夫だろうと思って・・・」
「それにしたって・・・」
 健やジョーはもちろん、普段はにこにこと愛想の良いリュウまでも怖い顔をして淳を睨んでいる。
「おれ達に恨みでもあるのか?」
「だって・・・」チラッとジョーに目を走らせて、「新しいワーキングウェアに気がついてくれなかったんだもの」
「は?」
「シュシュもお揃いにしたのよ。なのに、“なにがだ?”って・・・」
「お、おれ・・?」
 淳と仲間の視線に珍しくジョーがうろたえる。
「ジョーが気がつかなかったから・・・あのドタバタになったの?」
「で、ゴッドフェニックスを転がした・・・」
「あれは悪かったわ。あちこちいじり過ぎてプログラムが壊れたの」
「ううー」ジョーは頭を抱えて唸った。よくわからないが自分が発端らしい。「そ、それだけの事で・・・。お前なあ─」
「本当にごめんなさい!」
 淳は再び頭を下げた。
「まあ、もう許してあげなさい」今まで黙って見ていた南部博士が言った。「あのくらいのトラブルにうろたえるようでは君達もまだまだだな」
「博士・・・」
 ヘロ・・と5人が脱力する。
「訓練の強化が必要だ。それとジョーには女心の講習も増やした方がよさそうだな」
「あ、それいい」
 健に目やりジュンが言った。
 淳も笑みを浮かべたが、ジョーに睨まれあわてて神妙な顔に戻した。
 





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13:04  |   Jのものがたり  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

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●覚書き

戦いが始まっても、彼らは訓練を積んでいるに違いない。
どのような状況においても、冷静に敏速に的確に行動しなければならない。

で、一番の敵は?(~_~;)
淳 | 2012.06.02(土) 15:12 | URL | コメント編集

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