2013.01/14(Mon)

黄昏時

 西の空にひとつふたつと星が輝き始めた。

 ユートランドは大きな都市だが、少し郊外に出ると町の光も届かず空いっぱいの星を仰ぎ見る事ができる。
 そんな町外れの広い私有地に一台のトレーラーハウスが停まっていた。
 と、相当のスピードで走ってきた車がその前で止まり若い男が降りてきた。
 バタンと乱暴にドアを閉める。トレーラハウスの前でなにやらガチャガチャやり・・・またも乱暴にドアを開けた。
 入ったとたん足が何かにぶつかった。買ったばかりのトレーラーハウスの内部はまだ雑然としていた。
(くそォ、おもしろくねえ)
 蹴飛ばし返して男─ジョーはベッドに転がった。と、右肩がツキンと痛んだ。
(ケンの奴、思いっきり捻りやがって)

 ギャラクターのメカにバードミサイルをお見舞いしようと伸ばした右手を掴んで引き戻したのは、真面目なリーダーだった。
 当然おれは抵抗して・・・一発食らった。
 これはいつもの事だ。
 体重はおれより軽いくせに繰り出すパンチは重く、ズンッと響く。
 コンドルが大鷲に撃沈された。なんか格好悪い・・・。奴のパンチの練習台か、おれは。

(こんな事をしていて両親の敵をとれるんだろうか)
 今までの戦いはこちらの勝利に終わっている。しかし奴らは次から次へとメカを繰り出してくる。
 これがいつまで続くのか。
(南部博士がおれにバードミサイルの発射権を与えてくれればいいんだ。おれが奴らに復讐したいのはわかっているはずだ)

 子どもの頃から南部の世話になっていた。科学忍者隊に入るのも疑問はなかった。むしろ望むところだ。
 博士だっておれの目的を知っているはずだ。入隊を認めたという事はおれの復讐をも認めたという事だ。
 なのに現実は思うように戦えない。攻撃を繰り出してくる敵を目の前にして、武器使用の許可なんかとっているひまはないのに。

「あー、ムシャクシャするぜ!」
 ジョーはベッドに上半身を起こした。
 こういう時はG2号機を飛ばすのが一番だが、サーキットコースの予約は入れていない。人気のコースなのでアポなしではメンバーでも難しいのだ。
 博士の別荘に行く道なんかどうかな。あそこは別荘に行く人しか通らないし、結構な難所なので飛ばす奴はそういない。
 ケンの飛行場は? 無駄に広いあの場所にコースを作って・・・。

(博士、サーキット場を作ってくれないかな)
 いや、テストコースクラスでもいい。自分が飛ばしたい時に思いっきりG2号機を飛ばせるように。  

 冷蔵庫を覗いたがミネラルウォーターが1本入っているだけだった。一気に呷る。ふと、帰宅してからまだ室内の電気を点けていないのに気がついた。
 ジョーは飲み干したボトルをシンクに放り室内灯のスイッチを押した。
 バッと電気が点いた。そう明るい光ではない。なのにジョーは眩しさを感じ手で目を押さえた。

    キラキラと海が光る  眩しい夏の光 
                銃声と忌まわしい光がジョーを襲う  

 が、

 ここまでだ。いつもここで記憶が途切れる。
 この身に起こった事なのに、ジョーの記憶はこの先を彼に伝える事はない。
 それでもジョーは思い出そうとする。

   キラキラと光る海を背に一歩一歩進んでいく幼いジョー     光が飛んだ
  砂が舞った    だめだ、その先は・・・      それから自分は・・・

「チェッ、覚えていないものを考えたって仕方ねえや」

 科学忍者隊に入ったとはいえ、好き勝手にギャラクターをぶっ潰せるわけではない事は今までの戦いの中で学んだ。
 それはおれが望んだ事ではない。
 組織に身を置かず、おれは一人で奴らと戦う方がいいのかもしれない。〝仲間〝はおれには重みで足手まといだ。

 ブレスレットが鳴った。ジョーが手に取る。
『こちら南部。ゴルドア市にギャラクターのメカが現れたとの情報が入った。G2号は至急ゴッドフェニックスと合流せよ』
「ラッジャ!」

 とっさに返事を返していた。行くしかないのか、今は。
 一人で戦いたくてもおれには術がない。あの組織のバックあってこそ、おれはギャラクターに挑んでいけるのだ。
 わかっている、よくわかっている・・。

 ジョーはブレスレットを左手首にはめ、トレーラーハウスから飛び出した。




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Comment

●覚書き

戦いが終わり、暮れゆく今日を1人家に戻って、彼は何を思うのだろう。

まだ、物語が始まったばかりの頃のジョーの取りとめのない想いを。
淳 | 2013.01.14(月) 12:15 | URL | コメント編集

●淳さん、こんばんは(^-^)

手が空いたので覗きに来ました♪
今回は長くて読み応えがありました。(^-^)
南部博士の別荘へと行く道って、結構くねくねしていて走り甲斐がありそうですよね。
他に車が走っている様子も無いし、あれはジョーの為に作ってくれたのかも?なんて思ったりして…。

>組織に身を置かず、おれは一人で奴らと戦う方がいいのかもしれない。
これは、見ていてそう思わざるを得ないのですが、でも仲間の存在によってジョーは成長も出来たし、思い遣りも覚えたのでしょうね。

突っ込みどころは多々あれど、本当に改めてMXで観ていて大人の鑑賞に耐える凄い作品だな~と毎回のように思っています。

◆追伸◆
いつも私の拙い作品に丁寧にコメントを下さって有難うございます。
minako | 2013.01.14(月) 18:22 | URL | コメント編集

●minakoさん

いらっしゃいませ、minakoさん。
プロの方に読んでいただくなんて・・なんかドキドキしますわ(*^_^*)

>走り甲斐がありそう
ガードレールもないしちょっと怖いけど、ジョーはあそこでドライビングテクニックを磨いたのではないかな。
博士の車を何台潰したんだろう??

戦いが始まった頃のジョーは、まだ完全には仲間と同化していなかったのでは。
色々と勘違いや考え違いをしていると思います。
それが〝仲間〟のおかげでどう変わっていくのか。
それも彼の魅力のひとつになって行くのでしょうね。

それを書き表せられればな~~、なんて思ってます。

>拙い作品に丁寧にコメント
と、とんでもないです!
コメントは苦手なので綺麗な文章では書けませんが、その時(読んだ時)に思った事をそのまま書いています。
ので、時々ヘンな文に・・・<(_ _)>
淳 | 2013.01.15(火) 15:26 | URL | コメント編集

●淳さんおはようございます

>プロの方に読んでいただくなんて
いえ、プロとは言えません。
書いている分野が違いますから。
それと、今、契約切れで次の仕事がなかなか見つからずぷーたろー状態です。(泣)

>コメントは苦手なので綺麗な文章では書けませんが
いいえ、綺麗な文章なんて必要ありませんわ。
思った事を書いて戴くだけで励みになります。m(_ _)m
minako | 2013.01.16(水) 08:40 | URL | コメント編集

●minakoさん

>契約切れで
少しでも条件の良い・・・条件の合うお仕事が決まるといいですね。

>思った事を書いて
そうですか?よかった。
読んでいる時はあーもこーも思うのですが、いざコメントを書こうとすると変にかしこまってしまい、思った事を上手く書き表せられません。
あとは読む方の読解力に頼り・・・(^_^;) ←他力本願?
淳 | 2013.01.16(水) 15:13 | URL | コメント編集

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