2011.04/21(Thu)

青瞳(ep.S)

 キラキラ・・・
     太陽の光を浴びて青い海が光る・・・

 キラキラ・・・
         聞こえてくるのは波の音だけ・・・

   静かな・・夏も終わりの避暑地・・・

 だがそこに渦巻くのは怒り、恐怖、緊張、哀しみ、そして憎悪・・・


(またヘンな夢を見ちゃったわ)
 目の前のオレンジジュースをズーと吸い、淳は目元をそっと押さえた。いつからだろう。 こんな夢を見るようになったのは。
(でも・・・あれはいったいどこなの?)
「元気ないわね、淳」
「昨日のテストの結果が悪かったの?」
 同じテーブルを囲む友人達がそれぞれお気に入りのランチを突っつきながら訊いた。
「それもあるけど、最近夢見が悪くて。どこなのかわからない所で何を見ているのかもわからなくて─」
「なに、それ?」金髪のマーシが小首を傾げる。「そんな時は、ほらあっち。目の保養よ」
 彼女が指差す方を見ると2人の少年が歩いていた。

 その1人・・・手前を行く少年は遠くから見ても目立つ存在だ。
 名前は鷲尾 健。成績もルックスもトップクラス。
 澄みきった青空のような青い眼とやわらかなチョコレート色の髪、そして誰に対しても人当たりよく接するこの少年に周りの女の子達の目が釘付けになる。話してみると時々トンチンカンな事を言うらしいが、そのギャップがますます女の子達の心を引きつけるのだ。
「確かに綺麗な男の子だけど、でも時々別人のような目で周りを見るわ。ちょっと怖い」
「そう?少なくともあんたよりは優しげだわよ、淳」
「淳はジョーがお気に入りなのよね」
「えー、そっちの方が怖いじゃない!淳の趣味ってわからないわ」
 女友達の評価はなかなか厳しい。淳は口をへの字に曲げると、ズズッとストローを吸った。

〝ジョー〝と呼ばれた少年の名はジョー・南部。ISOに勤める科学者の息子らしい。
 並ぶ健よりわずかに長身の、しかしあまり笑顔を見せず近寄りがたい存在だった。あの健がどうしてジョーと一緒にいるのかが校内の七不思議のひとつだ。
 だがジョーの成績もトップクラスでスポーツはなんでもこなす。本来ならもっと女の子にもててもおかしくないのだが、如何せんあの鋭い目つきに女の子達は一歩引いてしまうのだ。
 だが淳はその眼が好きだった。できればいつまでも眺めていたい。ううん、今だって彼の前に回り込み、その瞳を見たい。
 しかし淳の想いも虚しく、2人は建ち並ぶ校舎の1番奥のスペースに消えた。そこから向こうは一般生徒の立ち入りは禁止されている。
 新設されたばかりの〝特殊科〝と呼ばれる学科だが、健に憧れる女の子達ももちろん淳も、そこがどういう学科なのかは知らなかった。
 ただ他の生徒とは違うなにかを感じている。この科に学ぶ彼らは卒業したらきっとISOで仕事をするのだろう。

 ユートランド郊外に建つここは国際科学技術庁(ISO)直属の専門学校だ。
 電子工学や生物学、医学などあらゆる技術者や研究者を育てている。卒業生のほんのひと握りがISOか、その関連の研究施設で仕事ができる。いわばエリート中のエリートなのだ。
 淳は〝マシンメカニック科〝から、今年新設された〝特殊マシンメカニック科〝に進級したばかりだ。もちろん一般の乗用車のメカニックではない。災害時の特殊車両からそれこそレーシングカーまでありとあらゆる車両のメカニック・・・時には見た事もないようなマシンの整備の勉強もしている。
 授業も机の上だけでなく、実際に器具を持ちマシンと格闘する。手も体もすぐに油まみれになるのだ。車好きでなければとても務まらないだろう。
 整備の邪魔になるので数少ない女子のほとんどは髪を短くしているが、淳はセミロングの髪をシュシュでポニーテールにまとめている。
 マシンの整備が完了して、サッと髪を解く瞬間が好きなのだ。

 いや・・違う・・・。

(ジョーを初めて見た時って・・・)
 進級第1日目。指定された教室を探してウロウロしていた淳は廊下の曲がり角で誰かとぶつかってしまった。手に持っていた本がバサバサと落ちる。顔を上げると青い瞳が自分を見降ろしていた。

 ああ、なんて綺麗な瞳の色なんだろう・・・。でもどこかで見た事があるような・・・。

 淳はとっさにシュシュを取った。肩に髪が広がる。なぜそうしたのかわからない。だが自分が動揺しているのはわかった。
 しかしぶつかった相手は顔色ひとつ変えず、散らばった本を拾い淳に押し付けるように渡すとそのまま行ってしまった。
 無愛想な人だ、と礼を言うのも忘れて淳は思った。だがあの瞳の色だけは忘れられない。
 それから淳の目は無意識にその瞳を追うようになった。その彼が〝特殊科〝の生徒だと知ったのは10日後だ。そしてそれと前後するように新設されたのが〝特殊マシンメカニック科〝。
 淳が進級時に迷わずコース変更を決めたのも〝特殊〝という言葉のせいかもしれない。鋭い女友達に散々突っ込まれたが、

(いーのよ。淳のじゅんは〝たんじゅんのじゅん〝なんだから)
 もうすぐ昼休みも終わる。午後は〝フューチャーG〝と呼ばれる未来の乗り物に関しての講義だ。
(でもセスナにストックカーにバイク、バギーって・・・いったいどういう取り合わせよ?)
「何をぼんやりしているの。昼休みは終わりよ」
 友人達はランチのトレイを手に立ち上がった。淳もあわててサラダを口に押し込んだ。


                              
              
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14:04  |   Jのものがたり  |  TB(0)  |  CM(5)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●覚書き

う~ん・・・。
文章が硬い。ストーリーが硬い。ロマンチックじゃない・・・。
でもどうしようもないので、そのまま載せるv-393

おもいっきり昭和的な出会いにしてみました。
深い意味はないんです。ただそうしたかっただけで・・・もっと言えば、それしか思い浮かばなかったので。← 芸がない

ワンカットやワンシーンは思いつくのになぁ。これらがうまく繋がらない。裁縫は苦手なので・・・。

さて、書けるのか?続き。
淳 | 2011.04.21(木) 15:33 | URL | コメント編集

●管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 | 2011.04.27(水) 23:08 |  | コメント編集

●コメントをくださった方へ

このシリーズを書く時、ちょっと考えたんです。
可愛い女の子女の子した「淳」にしようか、それとも・・・。
ですが考え付くシーンがどれも「女の子らしい淳」ではなくて・・・これはもう無理!淳に近い「淳」しか書けないわ!と居直りました。

あまりストーリーのある読み物ではなく(変な日本語だ)、彼らの日常のワンカットを気ままに書いて、立ち寄った方が気軽に読んでもらえる空間にしたいな。

甘々は期待しないでね~~v-15←逃げた
淳 | 2011.04.28(木) 14:26 | URL | コメント編集

●Jのものがたりを一気読みしました

おはようございます。
昨日、スマホで全部一気読みさせて戴きました。
これを読んでいないから、Twitterで書かれる世界が理解出来なかったんですよね。
すみません。(^_^;

専門学校時代から書かれているなんて、凄いな~、とただただ感心。
私には書けません。
本編準拠の話しか書いていない私には…。
皆さん個性があっていいなぁ。

これでジョーと淳さんの関係性が良く解りました。
ちょっとはピンボケなコメントが減るかな?(笑)
真木野聖 | 2014.12.28(日) 09:33 | URL | コメント編集

●真木野聖さん

>全部一気読み
うわー、ありがとうございます!
さぞやお疲れでしょう。
なにせ難しい事は考えないで書いている世界なので・・・でも楽しいんです、その方が。 (^.^)

>Twitterで書かれる
本篇に沿った話を書いたり、「Jのものがたり」の話を書いたりと区別しにくいと思います。基本、別物です。
「淳」は本篇には出ません。 ← あたりまえです

>専門学校時代から
私も最初は本篇だけだったのですが、それではどうしても行き詰ってしまって。
ジョーに寄り添う自分がほしかったのもありますが。

>ジョーと淳さんの関係性
良い関係になるといいな~~。
淳 | 2014.12.30(火) 16:36 | URL | コメント編集

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