2011.05/13(Fri)

ラブレター(ep.S)


「鷲尾 健にラブレター出すのォ!?」
 そのとたん3本の手が飛んできて淳の口を塞いだ。
「声が大きいわよ」手を離しながらマーシが言った。「淳は健のファンじゃないから話しているのに」
「ごめん。だけど・・・」淳は前に座る友人達を見回した。「3人で1通って・・・。連名のラブレターなんて聞いた事ないわ」
「これくらいしないと目に止めてもらえないわ。彼の所には1日何十通と届くっていうし」
 なるほど、そうかもしれない。相手はあの鷲尾 健だ。ラブレターなんか飽きる程貰っているだろう。
(という事は・・ジョーも?)
 人気ナンバー1の健に見劣りしない容姿なのに、彼の周りに女の子の姿は見えない。でもまったくファンがいないとも限らない。案外みんな裏に回って・・・。
「でも手紙なんてすいぶんと古い手を使うのね。メールにすればいいのに」
「それが、誰も健のメルアドを知らないのよ」
「校内専用の通信IDは?」
「それもわからないの」
「・・まさか」
 この学校の学生はみんな個人別のIDを持っている。
 そのひとつである通信IDは主にレポートの提出や欠席した時の講義の内容を知るためにあるのだが、もちろんメールのようなやり取りもできる。
 もっともプライベートで使うには少々面倒な設定になっているので、メールは昔ながらの携帯電話やタブレット端末が一般的だ。
「ちなみにジョーのIDもわからないのよ」
「・・そうなの?」
 いくらセキュリティが厳しくても存在するものなら必ずどこかから見えるものだ。ましてやここはあらゆる方面の研究者や技術者を養成している場所だ。〝そっち方面〝に強い学生はいくらでもいる。淳の友人のマーシもその1人だ。
「従来のセキュリティシステムとは違うプログラミングなのかしら」
 そうマーシは言うが、専門学校の学生にそんな厳重なセキュリティが必要だろうか。
「とにかく手紙よ、手紙作戦でいくわ。淳も文面を考えてよ」
「そう言われても・・・ラブレターなんて書いた事ないわ」
「ジョーに言いたい事を考えればいいのよ」
「・・・言いたい事」淳の頭の中にはあーんな事やこーんな事、そーんな事が浮かぶ。が、「そ、そんなの手紙になんて書けないわ。それになんで私とジョーなのよ?あんた達と健、でいいじゃないの」
「そーんなぁ、恥ずかしい~」
 なにを言っているのやら。
「ところで、健の住所はわかっているの?」
「え?」
「住所よ。書かないと届かないわよ」
「・・・あ」
 どうやらこちらもわからないらしい。
 4人は顔を見合わせて・・・ため息をついた。





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Comment

●覚書き

なんで2人の情報がないんだろうな~。
この頃から、実態を見せずに・・・だったのだろうか。

それとも博士が隠してた?
淳 | 2012.03.28(水) 16:30 | URL | コメント編集

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