2011.06/02(Thu)

始まりの2人(ep.G)


「トレーラーハウス?」目の前のそれに淳は目をパチクリさせた。「・・・旅にでも出るの?」
「健と同じこと言いやがる」
 フンと小さく鼻を鳴らし、ジョーは買ったばかりのトレーラーハウスのドアを開け中に入った。が、
「どうしたんだよ。遠慮しないで入れよ」
 外に立ったままの淳に言った。
 遠慮しているわけではない。ドアから覗いただけでも内部の狭さがわかる。ベッドも見えるのだ。そんな所に入っていいものか。
「ちゃんと掃除したぜ。床もピカピカに磨いてご機嫌だぜ」
 そういう事ではない。誰かほどではないが、女の子の心情を理解しない朴念仁揃いだな、あのチームは。  
 だが、
(ええい!ままよ!)
 よくわからない気合いを入れると淳はゆっくりとトレーラーハウスに足を踏み入れた。  狭い。が、キッチンや生活設備が機能的に配置され思ったよりも窮屈さは感じない。
(でも、2人で生活するには狭いよね)
 頬が熱くなった。それをジョーに悟られまいと顔を背ける。ベッドが目に入った。あわてて顔を戻すとジョーと目が合った。
「首の運動か?」冷蔵庫から缶コーヒーを出しジョーが言った。「まだパーコレータもカップも買ってないんだ。今日はこれで我慢してくれ」
 動揺しているのか放られた缶コーヒーを受け損ない、淳はベッドに尻もちをついた。
 ボンッとスプリングが跳ねる。バランスを崩した淳の目に天井が映った。

     新しいシーツの香り。     やだ、カーテン開いてるわ。
  起き上がろうともがく手。   白い壁が見える。
   その隅に入り込んで来たのは、いつもとちょっと違った角度から見るジョーの貌・・・。

(えええー!)
 口を開けたが声は出なかった。ジョーの顔が大きくなった。ベッドに放り出された淳の両腕をガツンと掴む。
 
     こ、これって映画とかマンガとかでよく見るシーンだわ。     有りがちな設定ね。             
  だけど、いいの?こんなにあっさりと・・・・・ええっとええっと、この次は・・・。

 淳の視界がジョーでいっぱいになった。あの青い瞳が近づいて来る。
(う、うわ・・・だめ・・・)
 引っ張られた。

「きゃーー!」
「うわっ!」
 
 気がつくと淳はベッドに上半身を起こし座っていた。
「なんて声を出すんだよ。起こしてやったのに」
「え?ああ・・そ、そうね・・・」
 ええっと・・この状況って・・・。
「ほら。お前が見たがっていたGTマシンのデータブックだ。持って帰りな」
「・・・ありがと」
 ジョーから渡された分厚いデータブックと缶コーヒーを両手で抱いたまま、淳はトレーラーハウスから出て行った。
(なんだぁ・・・。ちょっと期待しちゃったじゃない。科学忍法に〝朴念仁〝なんてあるのかしら)
 なに言ってんだろ、自分は。でもまだ胸がドキドキしている。期待した、なんて嘘。本当はちょっと怖かった。
 彼とはまだ〝恋人同士〝とまではいかないけど、気がねせずに何でも話せる友達としてはいい関係よね、今は・・・。それから先は─、
「これからよ!」そう、2人の付き合いは始まったばかりだ。時間はたっぷりある。「やだ、  ここから歩いてなんて帰れないわ」
 淳はトレーラーハウスに引き返した。

(まったく・・・コケるなよな、あんな場所で・・・)
 カツカツと爪がプルトップを引っ掻く。その速さは鼓動と一緒だ。ベッドに目を向けると  クッションがかすかにへこんでいる。綺麗に敷いたシーツにも皺が寄っていた。
 ふっと息をつきドアに寄り掛かった。
(・・・あいつ、意外と華奢なんだな─)
 やっと開いた缶コーヒー。ジョーは口をつけた。と、
「車で送って行ってよ、ジョー」
 ドアを叩かれ、ジョーはコーヒーを吹き出しそうになった。
 







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11:52  |   Jのものがたり  |  TB(0)  |  CM(3)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●覚書き

こんなものかな、最初だし・・・←え?

3つの時代のepisodeをアトランダムにアップしている「Jのものがたり」だが、「ep G」に入るのはちょっとためらいがあった。
ここが始まってしまったら、あとは最終話に向かうだけなのだから。

もちろん、それまでにはたくさんの「ものがたり」があると信じているが。
淳 | 2011.06.02(木) 12:05 | URL | コメント編集

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 | 2011.07.15(金) 16:43 |  | コメント編集

●コメントをくださった方へ

スキスキコメントをありがとうございます。

ジョーのファンだったら誰でも一度はあのトレーラーハウスに入ってみたいだろうなぁ、と思って・・・。
おそらくケンに続いて2番目だと思います。
ひとりで勝手にドタバタしている淳。冷静(?)なジョー。
この時の2人はまだ「恋人同士」(・・いつ、そうなるのかまるでわからん)ではないので、ジョーも気楽に誘ってくれたのかな。

実は最初は「淳はトレーラーハウスに引き返した。」で終わりだったんです。
でも・・このまま終わるのもなんかしゃくで・・・。
ジョーにも少し「意識」してもらいました。

「Jのものがたり」って大した内容はないけど、よくある日常と戦いという非日常を彼らが生きている、という事を表わせれば満足です。

もちろんジョーとのv-344も。

淳 | 2011.07.17(日) 16:21 | URL | コメント編集

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