2017.12/25(Mon)

未確認飛行物体


「上空1万メートル到達」
『よし。こちらの指示があるまで待機せよ』  
「はい、博士」
 ゴッドフェニックスのコクピットが一瞬和む。が、
「ねえ、博士。本当に合っているの? その情報」いつになく不機嫌な口調でジンペイが訊いた。「こんな夜に未確認飛行物体で出動だなんて・・・国連軍の見間違いじゃないの?」
『いや、私もレーダーを見た。完全に補足していたのだが・・・』

 アメリス国上空を飛んでいた国連軍の戦闘機のレーダーに映ったのは単機で飛ぶ小さな物体だった。
 問いかけに応答はなく、所属国の識別コードの発信も無い。戦闘機でも民間の航空機でもこんな事はあり得ないのだ。

「おまけに時速3キロで飛んでいるんでしょ。気球かパラグライダーとかじゃあ─ 」
『高度1万メートルをかね? 』
 飛べない事はないが凍る。
「どこかの国の小型偵察機じゃないんですか」
 大型レーダーの前に座るジョーが言った。それなら識別コードが無くても不思議ではないが。
 だが博士の話では、時速3キロで飛ぶその物体は上空1万メートルの地点から地表に向かって急降下や急上昇を繰り返しているという。そのたびに少しづつだが機体が小さくなっているようだ。
「爆弾でも投下してるんじゃねーの」
 物騒な事を言うジョーに目をやり、が、何も言わず博士が唸る。どうやら博士にもよくわからないようだ。
「国連軍だけじゃない。アメリス国のレーダーにも捕捉された」
 健が目の前のメインスクリーンに映る博士から目を離し、後ろのジンペイを見る。
「視認もしているんだ。皆が皆見間違いとは思えない。未確認飛行物体であろうと偵察機であろうと確認しなくては」
「あー、もうどっちでもいいけどー。早く現れてくれんかのお。おら、ご馳走をひと口も食っとらんワ」

 ロースターから出したばかりの大きな骨付きチキンのちょっと焦げた匂い。
 サーモンのマリネにバジルの香り高いローストビーフ。
 ミネストローネに雪だるまの形のケーキは生クリームたっぷりだ。    

 いつもの多国籍料理の数々。それらを思い出したのかリュウの口が動く。
「おいらだってケーキのクリームをひと掬い舐めただけだよ」
「まあ、ジンペイ。あれはあんただったのね」
 とんだやぶ蛇にジンペイが首をすくめる。
「おっ」突然点滅を始めたレーダーにジョーが声を上げた。「レーダーに映る未確認飛行物体捕捉! 10時の方向だ」
「なんじゃ、そりゃ~ 」 
 軽口をたたくリュウだがその腕は確かだ。博士の指示の下、すぐさま10時の方向に機首を向ける。
「急速接近! あ・・・あれ? 」
「どうした、ジョー」
「消えたぜ、本当に未確認になっちまった」
「未確認を確認しようとして未確認になったんじゃな」
 ちょっと違う。
「下よ! 急降下したんだわ!」
「ゴッドフェニックスのレーダから外れた?」
 信じられないというようにジョーがジュンを見る。と、
「急加速で上昇してくるわ! ゴッドフェニックスの下」
「これ本当に時速3キロの飛行物体なの~、おねえちゃん」
 確かに大型レーダーの下部から点滅が上がってくる。とても時速3キロには見えないが。
 と、機体にぶつかる寸前でクッと横に逸れ、物体はゴッドフェニックスの目前に現れた。
「あ」
「み、未確認飛行物体が・・」 
 こんなに接近していれば、もはや未確認ではなく充分確認できる。
 どう見てもあれは─ 。
「サ、サンタクロース?」
 ゴッドフェニックスのメインスクリーンに映るのは、角の生えた動物が引く橇に乗った太った髭の男。その後ろには大きく膨らんだ白い袋が。
「サンタクロースだ!」ジンペイが立ち上がる。「サンタだよね、おねえちゃん!」
「え・・ええ・・」
 自分の目に映るそれが信じられない。
 ジュンばかりではなく健もジョーもリュウもポカンとただただ見つめるだけだ。
『ゴッドフェニックス応答せよ。健! どうした健!』
 サンタクロースの映像に南部の声が重なる。
「サンタって博士だったの?」
 トンチンカンなことを呟くジンペイだが、他の4人も一瞬そう思ってしまった。
「は、はい。サンタがプレゼントを積んだ橇で・・・我々に手を振って・・・。あ、こっちに向かって─ 」
『何を言っているんだ、健。大丈夫か』
「はい・・ちゃんと受け取ります、プレゼント」

 橇がジグザグに飛ぶ。まるで空間にツリーを描くように。

 目の前に映るカラフルな箱。ちょうど5箱ある。
 小さい箱、大きな箱。
 自分のはどれだろう。何が入っているのだろう。

 平和と自由が入っているのはどれ?

 その夜、無事に三日月基地に帰還したゴッドフェニックスの映像記録用テープには途中から何も映ってはいなかった。



                        おわり





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16:16  |   Gフィク  |  TB(0)  |  CM(7)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●覚書き

いつものように・・・昨夜遅くに急に思いついてダダダ・・・と書きあげた精査なしのひと話。

ネタばれ承知の話だねー。この日なので仕方がない。

クリスマス恒例、北米航空宇宙防衛司令部が 特設サイト「NORAD Tracks Santa」を設置してサンタクロースを追跡するサービスを知った時、もしかしたらゴッドフェニックスだってサンタを見かけているかもしれないと思った。

さぞ忙しいだろうね、サンタさん。橇は遅いし。
ゴッドフェニックスで後押ししてあげては? ← 迷惑です

淳 | 2017.12.25(月) 16:25 | URL | コメント編集

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 | 2017.12.26(火) 23:38 |  | コメント編集

●鍵付きさん

こんにちはー。

読んでいただきありがとうございます。 (^.^)
自分が楽しく書けて読めればいいと思い書いた話ばかりですが、ちょっとでも
幸せを味わってもらえればこちらも幸せです。

好きになるのに早いも遅いもありません。
ガッチャマンの世界に、これからた~~ぷり浸ってくださいね。
淳 | 2017.12.27(水) 12:13 | URL | コメント編集

●管理人のみ閲覧できます

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 | 2017.12.27(水) 15:45 |  | コメント編集

●鍵付きさん

再度コメントありがとうございます。

「Gフィク」はなるべく(!?)本篇に沿った内容を、そして「Jのものがたり」はあくまでも淳の願望というか・・なんというか・・・。
若い彼らにちょっと息抜きしてもらいたいと書き始めました。

45年前の作品ですが、ほんと今でも充分に格好いいですね!
淳 | 2017.12.28(木) 15:34 | URL | コメント編集

クリスマスフィク、楽しかったです♪
こんな話を一夜で思い付いて書き上げちゃうなんですごいです。

5つの箱は、中身を確認するため三日月基地で博士の前で開けられたんでしょうね。
きっと博士にも心の和むひと時。そのままJへ連れてっちゃえ!
素敵なお話をありがとうごさいました。
隼人 | 2017.12.30(土) 10:41 | URL | コメント編集

●隼人さん

いらっしゃいませ~。

読んでいただき、そしてコメントもありがとうございます。

>一夜で
あまり良い傾向ではなんですけど・・思いついたら書いておこうかと。 (^_^;)
Gフィクは真面目に(?)書かなければと思いますが・・・ま、たまにはこんなよくわからない話もいいかなあ。

>そのままJへ
博士がスポンサーなら怖いものなし!
サンタさんとは別にプレゼントくれないかな~、博士~。

淳 | 2017.12.30(土) 17:42 | URL | コメント編集

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